急成長すると歪みが起きるもの~スペインの高速鉄道事故

スペイン高速鉄道の脱線事故はすでにWikipediaにも項目が立っていて、こちらにもいろいろな背景情報が伝わりつつあります。

Wikipedia「サンティアゴ・デ・コンポステーラ列車脱線事故」

欧州の鉄道業界団体「CER」の週刊ニュースレターを足かけ6年ほど翻訳してきているのですが、スペインの高速鉄道の話題は頻繁に出てきてました。
どこそこの区間が開通した、とか、今度はどこそこの区間の開発計画が発表された、とか。

欧州では、道路輸送からのシフト先として「環境にやさしい」鉄道が再評価されてきてはいますが、それにしてもスペインの開発ペースは驚異的でした。スペイン政府が景気対策の一環として力を入れてきた、ということもありますが……。

これ以上の急ピッチで高速鉄道の開発を進めたのが中国ですけどね。

今回の事故について断片的に流れてくる情報を総合すると、こういう急ピッチの開発が遠因となっているのは否めないようですね。
事故が発生した区間にはATCがなかったようですし、現場の映像を見ると線路にカントがほとんどなく、これで高速列車を走らせられるのか? って構造に見えます。
また、この区間では電化が完了するまで高速列車の運行をしない予定だったのが、地元の強い要望によりディーゼル動力車を組み込んだ編成でムリヤリ高速運行を開始した、ってな話もあるようで。
また、あまりにも急激に高速列車が増えたため、運転士の育成も追いついていないんじゃないでしょうか。

おそらくこの事故で、スペインでの高速鉄道開発はスローダウンせざるを得なくなるでしょう。

次に高速鉄道の大幅な拡大が期待される市場は米国ですが、これがどういう動きになっていくのか興味深いところです。

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