「語学書」カテゴリの記事

言語によって異なる攻略法

Viva!中級韓国語
金 珍娥
4255002894

韓国語は「構造の上で最も日本語に似ている言語」 と言われる。

確かに、日本語と韓国語では文の構造は「うり二つ」と言っていいくらいに似ている。
ほとんどの場合、個々の単語を逐一置き換えるいわゆる「逐語訳」で必要十分な意思疎通が可能になる。

だが、旅行会話程度のところから簡単な日常会話(天気の話とか、昨日何をしたとか)のレベルあたりに進んでくると、そこから先へどうも進みにくくなってくる。

原因は、おそらく韓国語の文法にあると思う。

たとえば英語であれば、文法書の目次は名詞・動詞・前置詞・形容詞・副詞・代名詞・助動詞などなどのいわゆる「単元」ごとに整理されている。
これは、とりもなおさず、英語ではこれらの品詞が文法的機能を分担していることを示している。

動詞は動作などを表すと同時に、活用や助動詞との組み合わせによって時制(過去・完了など)を表す。
助動詞は意志・可能・使役・義務その他を表す。
代名詞は、本来の「名詞に代わる」ものだけでなく、関係代名詞という修飾に関わる役割を果たすものもある……、といった具合。
(細かくはもっとたくさんあるんだけど省略)

一方韓国語では、「用言の語尾」と「助詞」が文法機能の大半を担っている(
これは日本語も同様)。

特に「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の語尾」。
たとえば、(日本語と韓国語ではほぼ事情が同じなので日本語の例を示すが)「食べる」という基本形の語尾を変化させるだけで、食べたい(意志)・食べた(過去)・食べろ(命令)・食べれば(条件)etc.とさまざまな意味を表現することができる。おまけにこれらの語尾変化は、「食べたければ(意志+条件)」のように複合して使われることも多い。

だから、韓国語や日本語の場合には、英語などの言語のように「単元ごとに攻略して文法を学んでいく」という方法が採りにくい。
と言うか、そもそも文法の学習書がそういう方法を想定した構成になっていない(することができない)のだ。

この本では、「勧誘」「提案」「推量」「伝聞」など、「伝えたい内容」に沿って文法事項を整理してある。
いわゆる「文法」に特化した学習書ではないが、韓国語や日本語のような文法構造を持つ言語の場合、全体像を整理しながら理解していくにはこの方向からのアプローチがきわめて有効だと感じた。

しっかりした文法書とセットで再読・三読していくと、かなり効果的だろう。

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2008-06-07 10:56 am | Bookshelf/ 語学書 | No Comments »

霧が晴れて見えるものは

冠詞マスター教本
石井 隆之
4860640403

人間は、物事を考えるときに「言葉」を使う。
どのような道具を使うかは、そこからどのようなモノが生まれてくるかに大きく影響するワケで、「言葉」もある種の道具の一種である以上、そこから生み出される「思考」の有り様に大きく影響を与える。

一方、思考の結果を他者と共有するために「言葉」は不可欠な道具である。
ある「思考」を他者に伝達するためには、その「思考」に対応する表現を持つ「言葉」が必要になる。
つまり、「言葉」が「思考」に影響を与えるのと同時に、「思考」も「言葉」の有り様に大きく影響を与える。

つまり、異なる言葉を使っている外国人同士では、「モノの考え方」が異なっていて当然、と言える。

特に文化圏・言語圏が完全に異なる外国人同士の場合には、「モノの考え方」を作り上げているそもそもの「材料」が異なっていたりするから厄介だ。

この本のテーマになっている「冠詞」は、日本語の中にはまったく存在しない要素である。当然、英語のネイティブスピーカーが冠詞によって伝えようとする思考・概念も日本語ネイティブスピーカーの中には存在しない。
冠詞を学ぶということは、大げさに言えば「考えたこともなかった」ことを学ぶようなものだ。

おまけに冠詞は英語ネイティブにとっても「実はよくわからない」厄介なものであるらしく、なかなか体系的・論理的かつわかりやすい参考書というのが少ない。

ま、この手のことを積極的に勉強しようという人はいわゆる「上級者」であるはずなので、初級者向けの取っつきやすい参考書になりにくいのはある意味当然なのだが……。

この本は、冠詞の用法を細かく分類して網羅的に解説して、その表す概念をどのように理解するための手がかりを示そうとしている。

私の場合は、この本でほんのわずかに霧が晴れたような気がするのと同時に、その霧の向こうに横たわっているものの厄介さ加減に気持ちが萎えそうになった、というのが正直なところ。

折を見て再読・三読……としていくべき本、というところだろうか。

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2008-04-28 03:34 pm | Bookshelf/ 語学書 | No Comments »

「名文」は書けないけれど

日本語の作文技術
本多 勝一
4022608080
この本を初めて手にしたのは、大学3年になる少し前のことだったと記憶している。
私のいた学科では、3年から4年に上がるときに「進級論文」をいうのを出すのだが、院生の先輩に「論文と名の付くものを書くなら、まずこれを読んでおけ」と言われたためである。

当時は、今のように「文章を書くこと」そのものがメシの種になるような職業に就くとは思っていなかったが、この本を知るきっかけを与えられたことは幸運だった。

ジャーナリストとしての本多勝一は、賛否両論毀誉褒貶いろいろある人ではある。
しかし、少なくとも「論理的でわかりやすい日本語を書く技術」については、これほど実用的で有用な本は他に見当たらない。

何をどのように書けば「わかりやすい日本語」になるか、その方法がシンプルかつ具体的に提示してある。

昔、翻訳者養成のための通信講座を受講したことがあるが、そのテキストの中で、200字近い長さの文でありながら、2カ所しか読点が打たれていないにもかかわらず、意味が非常に理解しやすい文(たしか村上春樹氏の文だったと思う)が例示されていた。
この文が、本多氏が示す方法に完全に沿っていることに気付いたときにはさすがに舌を巻いた。

この本は「わかりやすい日本語を書く」ための特効薬となりうる。
特に、第2章~第4章の100ページ足らずの中に書かれていることを実行すれば、たいていの場合飛躍的に文章の「わかりやすさ」が向上するはずである。

第6章の「助詞の使い方」も有益なのだが、この章に限っては論理的に整理しきれておらず、散漫になっている印象がある。この章は参考程度に止めておく方が無難かも。

全体にわたって本多勝一氏の主義・主張が色濃く反映されているので、そういう部分が苦手な向きには読むのが苦痛となる可能性もある。
ただ、「技術書」としての有用性は非常に高い。

ただし、あくまでも「わかりやすい文章」を書くための「技術」を学ぶための本なので、「美しい文章」とか「心を打つ文章」が書けるようになるワケではない、と言う点には注意。

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2008-02-24 11:06 pm | Bookshelf/ 語学書 | No Comments »

頼りになる「地図」

母国語が確立された後に外国語を習得しようとする場合には、どうしても「アタマで」文法を理解することが必要になる。

旅行のときにちょっと使うだけ、とか、当たり障りのない日常会話(天候の話、簡単な近況報告)であれば、やみくもにインプットとアウトプットのトレーニングを積むだけでもそこそこのレベルには到達できる。

だが、論理的な組み立てが必要になるようなコミュニケーションを後天的に習得した外国語で行えるようになるには、文法の「お勉強」は避けて通れない、というのが経験からくる実感である。

文法ってのは、それぞれの要素が単独で存在しているワケではなく、相互に関係し合う複雑な体系となっている。
だから、単語やイディオムを覚えるときみたいに「レベルに合わせて内容を間引いた教材」だと、その複雑な体系の全体像を把握するのが難しく、結局「文法はよくわからない」という結果になってしまいがち。

そこで、ある程度以上の内容をきっちりと網羅した文法書を使う必要があるのだが、で、そこでお勧めなのがこの本。

英文法解説
江川 泰一郎
4760820094
英文法の各要素について、大学~教員レベルにも対応できる程度まで詳しく解説されているだけでなく、各要素のつながりについても把握しやすいように編集されている。

この本は、何度か通読することをお勧めする。

見知らぬ「言葉の街」を、この本を地図にして歩き回ることで、その全体像がアタマの中に描きやすくなってくるはずだ。

自分でも、久しぶりに読み返してみるかな。

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2008-02-19 09:04 pm | Bookshelf/ 語学書 | No Comments »