いろいろと読み始めては別の本にも手を出し、あれこれ同時並行で読むサイクルに入ったため、今月読了できたのは2冊。
Are Your Lights On?
Gerald M Weinberg Donald C Gause Sally Cox
いわゆる「問題解決法」のテキスト。
邦訳はこちら(未読)↓。
ライト、ついてますか―問題発見の人間学
ドナルド・C・ゴース G.M.ワインバーグ 木村 泉
スタイルとしてはいくつかのシナリオに基づく問題解決のケーススタディ集になっているのですが、問題を解決するには、まず「解決するべき問題を正しく特定すること」
というスタンスが気持ちいいくらいに一貫しています。
確かに「解決するべき問題は何か」という認識が的外れであるために、事態があらぬ方向に迷走する、ということは結構あちこちで起きていそうですし、自分にも経験があります。
全体として寓話っぽい語り口なので、「アレッ」と思いながらもうまく丸め込まれてしまったような釈然としない部分が残るところもありますが、逆にいろいろな教訓を引き出せる一冊です。
独立国家のつくりかた (講談社現代新書)
坂口恭平
正直なところ、「羊頭狗肉」としか評しようのない印象の一冊。
描かれている世界観は
評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている(この記事参照)
The Moneyless Man: A Year of Freeconomic Living(この記事参照)
と同じ方向性のものなのですが、この2冊に比べると説得力が非常に弱い。
基本的に論拠は自分の経験・見聞したことのみになっていて、背景となっている状況についての客観的・論理的な考察が弱く、「自分語り」ばかりが鼻につきます。
さらに言うなら、目指しているのがいわゆるアナーキズム的な方向であるにもかかわらず、それを実現するために「国家」を擬したモデルをベースにしている、というあたり、何というか「底の見えちゃってる」感がひしひし。
個人的体験に基づくアイデア集として読めばそれなりに面白いのですが、あえてお勧めはしない1冊です。