【書評】浅羽祐樹「したたかな韓国―朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る」

したたかな韓国―朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る (NHK出版新書 402)
したたかな韓国―朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る (NHK出版新書 402)

韓国の「いま」、特に政治について、これだけクールに分析してみせた本は、正直初めて読みました。
韓国、特に日韓関係絡みの本って、多かれ少なかれ何らかのバイアスがかかっていて、何より必要な「現状の冷静な分析」という点ですでにコケている本が割と多いんですが……。

この本では、「日本が国際社会の中で対峙するべきライバルのひとつ」という側面から、韓国(特にその政治的状況)を分析しています。
その目線はかなりクールで冷静。
日韓関係については「どちらか寄り」の視点からの分析・評価を目にすることの方が多いため、結構新鮮に映ります。

基本的に相手(韓国)側の客観的な「強み」を浮かび上がらせ、それに対して日本はどうするべきなのか、を提案するスタイルになっています。
日頃、「日本の方が上/正しい」というスタンスでの分析・評価にしか接していない人にとっては、「韓国寄り」に見えてしまう一冊でしょう。

しかし、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」。
まずは相手を「強敵」として分析・認識しておくことは重要。

また、従軍慰安婦問題については、この問題が韓国のキャンペーンによって国際社会において「戦時下の女性に対する人権侵害」として認識されている現状にも触れ、二国間だけでなく「その問題が国際社会の舞台でどのように認識されているのか」に注意を払うことの重要性も示しています。
このあたり、日本で行われている議論には欠けている視点ですね。

日本の外務省や政治家も、この本に書かれている程度の分析はした上で対韓外交を立案している、と思いたいところ、ではあるんですが……。

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