たまには翻訳屋らしいネタで。
先日、ちょっと必要があって英検について調べる機会がありました。
そのときに「5級」の試験問題を初めて目にしたのですが、「この『検定試験』、何の役に立つの?」と言うのが正直な感想。
レベルは「中学校初級」だが……
英語を習い始めたばかりの「中学校初級レベル」なので仕方がないのだとは思いますが、要求される語彙力・文法力のレベルはかなり低く抑えられています。
なので、ほぼ全部にわたって「パズルを解く感覚」で正解にたどりつくことができると言える内容になっています。
極論を言えば、英語という言語を運用する能力が皆無でも、この手のパズルが得意であれば合格できます。
おそらく、図形や音のパターン認識の能力が優れていれば、就学前の子どもでも十分合格できるでしょう(現に3才未満の子どもが合格しているようですし)。
これで「英語の技能」が測れる?
まぁ、この手の「検定試験」は多かれ少なかれこういう「パズル的要素」を含んでいるものです。
また、この種の試験が言語の運用能力を測る方法として役に立つのか否か、という議論があるのも事実で、あまり細かいことを言うのもアレだとは思うですが……。
しかし、この英検5級の内容はどう考えても「英語の技能を測る」という目的にはそぐわないものになっています。
その目的のための「検定試験」という形で実施される試験として、ほぼ「パズル解決能力」だけでもパスできるものを実施することにどういう意味があるのかはなはだ疑問。
この「英検5級」、思っていたより歴史は古くて1987年に創設されたとのこと。このとき同時に「準1級」創設されています。
おそらく、少子化による潜在受験者のパイの縮小に対応する、というある意味「大人の事情」もあったんだとは思いますが……。
以上、「英検5級」より「児童英検」の方が「英語の検定試験」としては意味があるような気がしている大越でした。