年末年始の休暇が実質3日ほどになってしまった大越です。
「読む」と宣言した本のうち、何とか読了できたのがこの1冊。
期待通り、学ぶところの多い本でした。
基本は「5W1H」を意識すること
書名にもある「論理的に考える力」ですが、その必要性についてはほとんど異論が出ないところでしょう。
この本では、副題にもある「コミュニケーション・スキル」の根幹になるものとして、この「論理的に考える」能力を身に付けるためのトレーニングを紹介しています。
提案されているトレーニングを貫いているのは、
相手に伝えることを念頭において、自分が伝えたい事柄における「5W1H」(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)をきちんと意識する習慣を身に付けることが重要
ということ。
言われてみれば当たり前なのですが、現実の私たちの生活では、この「5W1H」が明確にされないままの「何となくわかったような気分」でのコミュニケーションがまかり通っています。
これは日本語によるコミュニケーションの特徴でもあり、たいていの場合、日常生活で必要なコミュニケーションがそれで十分にとれてしまうんですよね。
段階的にスキルをトレーニング
しかし、特にフォーマルな場面などではこれは通用しないので、そうではない「論理的なコミュニケーション」のスキルを意識的に身に付けておく必要があります。
この本では、子どもの成長に合わせて、「誰が」「何を」といった要素をはっきりと伝えるためのスキルを段階的に身に付けるトレーニングが提案されています。
たとえば、3~4歳の子どもの場合は、「好き・嫌い」を軸にして、「誰が」「何を」好き/嫌いかという形で「主語」と「目的語」を明確にするスキルを習得する、という感じ。
内容は年齢とともに高度になっていき、最終的には自分の要望を実現するためのプレゼンテーションや交渉のスキルにまで及んでいきます。
大人も一緒に成長
このトレーニング、子どもだけでなく大人の側にとっても勉強になります。
トレーニングを進めるためには、大人の側がそのスキルをきちんと使ってコミュニケーションできなければなりません。
これはおそらく、これまで「日本的」コミュニケーションに慣れてきた大半の大人にとっては結構キツいハードルになるでしょう。
大人が自分のコミュニケーションのあり方を見直し、「きちんと伝える」ために何を意識するべきかを再確認するのにも、このトレーニングや役立ちそうです。
また、ついついやりがちな「子どもの言いたいことを先回りして『わかって』しまう」ことも、きちんと言葉にしてコミュニケーションをする能力を育てる上ではよろしくないようで。
このあたり、親としては結構難しいところなんですが(ついつい待てなくて先回りして動いてしまいがち)、そういう「親としての器」も必要とされそうです……。
まさに親子ともどもスキルアップできる1冊。
あ、フツーに大人が自分のために読んでも勉強になります。
是非ともお手元に。