[U] 野暮は承知でオススメしたい〜読書メモ「人生を狂わす名著50」

「書評本の書評」を書く、というのはちょっと野暮かもしれない、とは思うものの、この1冊はオススメせざるを得ない。

ともかく、著者のテキスト(本)に対する嗅覚には信頼を置いていい。

テンパった精神状態にあると思われる大学受験を控えた秋に坂口安吾の「堕落論」をひもといたものの、「あ、これは今読んだらアカンやつや」とそっと本棚に戻すという判断ができてしまうあたり、タダモノではない。

どの本に対しても読み方に手抜きがない。ときにはウザいほどにその本への愛情を語る姿は、「こりゃ確かに狂わされちゃってるよね」と感じざるを得ない。

と同時に「こんな感じになら、人生狂わされてもいいかも」と思わせる凄味も備えている。

大学院生の著者のブログ記事がベースになっているので、「そういう語り口」が苦手な人にはあえてオススメしないが、とくに中・高校生のためのブックガイドとしてはまさにうってつけ。
自分の場合、ずいぶん長い間フィクションを読んでいなかったが、この本で読みたくなった小説がいくつも出てきた。

表題となっている50冊それぞれについて「次に読みたい本」が3冊ずつ紹介されており、全体では200冊が取り上げられている。
おそらく、そのうち少なくとも1割くらいをこれから買い込んで読むことになりそう。

優れた書評本は書籍購入費を急増させるものだが、この本は今まで出会った中で「最凶」の書評本である。

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