ピンポイントで翻訳者を狙った詐欺にやられそうになった。
ウチの場合、以下のような流れ
- LinkedInで「こういう翻訳業務をやってくれないか」と依頼される。
- 話を聞こうじゃないか、ということで、メールアドレスを交換。
- とりあえず、NDAを締結してくれ、と言われる。
- メールで送られてきたNDAは一般的な内容。業務を引き受けない限り特に義務等が生じるわけではないので署名して提出。
- 原稿(ハードコピー)を送るので見積もりしてくれ、と依頼される。
- 支払い条件は、着手時に見積額の50%、完了時に残りの50%を支払い。(翻訳業界ではあまり聞いたことのないパターンだが、製造業関係だとありふれたパターン?)
- 「原稿発送したからね」というメール連絡あり(発送伝票の控え画像が添付されていた)。
- 中2〜3日で、配送業者から「メールで」連絡あり。「文書が税関で止められている。関税を払わないと手続きを進められない」とのこと。ちょっとありえない金額の関税が請求されている。
「おかしくね?」と思って、成田税関に問い合わせ(件の「配送会社」の追跡ページで検索すると、成田税関で止まっていることになっていたので)。
税関の相談官いわく「通常ありえない手続きの流れ。その配送業者の日本側窓口に問い合わせてみたら?」とのこと。
そういえば、海外から日本へ貨物を配送する場合、
・ 委託・提携先の会社(佐川や西濃運輸の国際貨物部門がよくあるパターン)
・ 配送会社の日本支社(DHLなど)
が通関手続きや配送を行うので、受取人とのやり取りはここを介して行うのが普通。
それに、メールで関税額を通知してこれを払え、というのがありえないパターン。
通常は、貨物と一緒に送付される「関税通知書」に従って納付する(または異議がある場合には不服申立てを行う)。
そこで、その「配送業者」に
・ 日本側の窓口を教えろ
・ 税関から「関税通知書」が出ているはずだからそれを見せろ
と連絡したら、「いや、本社経由でないと受付けられないのでモゴモゴ…」という返信が。
ここで詐欺確定だわな、と判断。
配送会社・発送元の会社の名前で検索すると、同じ手口の詐欺を国際的にやっているらしいことが判明。
Facebookのクローズドなグループにこの件をアップしたら、同じ案件に巻き込まれている翻訳者の方が他にもいた。
発送伝票の控えをでっち上げたり、貨物の追跡するためのウェブページを作ったり、それらしく見せるために結構手をかけている。
ウチはその手前で気づいたが、関税についての手続きを知っていないと、被害を受けてしまう可能性もある。
しかし、ピンポイントで翻訳者を狙ってくる詐欺があるとはねぇ……。
みなさま、お気をつけ下さい。