[U] ゼロから「使える英語」をモノにする(3)〜実際のところの「中学校卒業レベル」とは

「中学校卒業レベルの英語の完全制覇」が最初に目指すべき山、と書いたが、これが
実際にどのあたりのレベルになるのか、ちょっと詳しく見てみよう。

中学校卒業までに習得する基本的な文法事項

中学校では、基本的な文法事項としてはだいたい以下がカバーされている。

  • 基本5文型
  • 重文
  • 動詞の人称変化
  • 基本的な時制(詳しくは後述)
  • (関係代名詞を使った)複文

時制としては、中学校では現在・過去・未来・現在進行・過去進行・現在完了の6つ。
高校でこれに未来進行・過去完了・未来完了・現在/過去/未来完了進行が加わるが、会話で使うことはあまりない。
とりあえずは中学レベルまでの知識で結構やっていける。

高校で習うレベルの時制を使ってきっちりと表現しなければならないケースは、会話においてはかなり少ない。また書き言葉の中に出てきた場合でも、中学校までに学習した時制の知識と文脈からある程度までは類推できたりする。

上に挙げた文法項目は、英語でコミュニケーションする上での基礎的な骨格(家で言えば土台・柱・梁でできた「スケルトン」)の部分で、ここが整っていればある程度のコミュニケーションができる状態に持ち込むことができる

さらに中学校では、「so 〜 that 〜」や「too 〜 to 〜」構文、目的語としてのto不定詞や動名詞の使用といったスケルトンにはめ込んでいく「部品(コンポーネント)」についてもある程度の学習が始まる。

この「スケルトン」と「部品(コンポーネント)」との関係については、別エントリでもう少し詳しく説明する。

したがって「中学校卒業レベル」の知識があれば、文法的には「コミュニケーションできる」最低限以上のところまで身についているはずなんである。

問題は語彙

一方で、日本の中学校卒業/英検3級レベルでは、圧倒的に語彙力が不足している。

語彙力を考えるときには「知っている語彙」と「使える語彙」を考える必要があるが、英検3級で求められる語彙数(「知っている語彙」に相当)は約2000語。現行の学習指導要領で示されている指針が1600〜1800語(2021年度から実施される新指導要領では、小学校と中学校を合わせて2200〜2500語になる模様)。

ネイティブスピーカーが小学校1年生あたりでも5000語程度を「知っている」のと比較すると、かなり厳しい。

しかも外国語の場合、アウトプットに「使える語彙」は「知っている語彙」のせいぜい1/3程度である(経験的に言って、だが)。
2000語程度の1/3となる700語足らずであり、これはBasic Englishの850語よりも少ない。

「中学卒業レベル」の語彙では基本的なコミュニケーションにも足りない(なので、前のエントリで「コミュニケーションギャップを埋めるのは不可能ではない」という書き方をした)。

とりあえず「中学卒業レベル」を最初に目指す山の目安として設定はしたが、実際に学習していくにあたっては、この点を頭に入れておく必要があるだろう。

カテゴリー: 言葉についての考察 タグ: , , パーマリンク