外国語を学ぼうと思ったら、その言葉のしくみ、つまりは「文法」を学ぶ必要が多かれ少なかれある。
だが、文法学習は結構な嫌われ者である。
私自身も、本腰を入れることができたのは自分をずいぶんと追い込んでからだった。
これは多分、「文法は複雑でわかりにくい」という印象のせいだろう。
確かに単純なものではないのだが、「わかりにくい」のは多分、学習者じゃなく教える側・教材に問題がある。
仕組みをきちんと解剖して、順序だてて理解していけば、コミュニケーションに必要なレベルの文法知識の習得は、それほど高いハードルではない。
「言葉の仕組み」を分解してみる
一口に「文法」といっても、言語によってそれぞれに仕組みに特徴がある。
当然といえば当然なのだが、実際にいくつかの外国語を学んでみると、これがよく分かる。
異なる外国語を横断的にながめてみると、「言葉の仕組み」がだいたい次の2つの要素の組み合わせでできていることが見えてくる。
- コミュニケーションの単位となる文の骨格。家に例えると柱や梁からなる「スケルトン」部分。
- 文内の要素の関係を規定したりして、文をさらに肉付けする「部品(コンポーネント)」。
「スケルトン」は、英語の場合のいわゆる「基本5文型」、人称変化・格変化などの「活用」、時制など、文の骨組みをつくるための「ルール」。
活用表のような形で整理できる「法則」、と言ってもいい。
「部品」となるのは、英語であれば熟語や構文表現、日本語だと助詞や用言の語尾など、それぞれが個々に意味の表現をになう要素である。
コミュニケーションで使われる言葉は、だいたい「スケルトン」にいくつかの「部品」が組み合わされる形で作られている。
異なる要素には異なる「学び方」が
同じ言葉を形づくる要素であるものの、「スケルトン」と「部品」の働き方はかなり違っている。
そのため、学習するときにはそれぞれに違う戦略、というかコツが必要になってくる。
「スケルトン」部分は、その要素となっている「法則・ルール」を習得して使いこなせるようになることが学習の目標になる。
この「法則・ルール」のはそれぞれが有機的に関係しあっているので、全体をひとつの「枠組み」としてアタマに入れられるようにしなければならない。
一方「部品」の方は、それぞれに持っている意味・機能を個別に覚えていくことが学習の中心になる。
基本的には、ひとつひとつの要素の役割(意味)を個別に暗記していく必要がある。
残念ながら、こういう「学び方のコツ」の観点から整理された文法の教科書や参考書は、どの言語でもほとんど見当たらない。
(おそらくこれにはそれなりの理由があるのだが、それについては今は触れないでおく)
「中学校卒業レベルの文法知識」を(コミュニケーションが可能なレベルまで)着実に習得する方法について、次回以降のエントリでまとめてみたい。