外国語で「日常会話」「世間話」「雑談」をきちんとするのは、中級レベルでも結構しんどい。
と言うか、外国語での会話で一番要求されるスキルが高度なのがこういう会話だと思う。
まず「日常会話」「世間話」とは何ぞや、という定義の問題があるのだが、
- 特定のテーマに縛られない
- だいたいフォーマルではない場での対話
- そこそこ親しい間柄の中で行われる
というあたりが特徴になるんじゃなかろうか。
多岐にわたるテーマが問題
この中でひとつ目の「特定のテーマに縛られない」というのがクセモノ。
うちの妻と米人友人との会話を聞いていると、ともかく話題が多岐にわたる。
- 諸々の病気・手術などの話(こういう病気にかかって、こういう手術を受けて……)
- 不動産の話(アメリカに持っている家を売ろうとしてるんだけど、良い買い手が出てこなくて……)
- 政治の話(トランプは論外だけど、ヒラリーも金持ちの味方だし……)
- 子どもの教育の話(アメリカでも三人称の使い分けを子どもに教えるのには苦労してて……)
などなど。
しかも、これらの多様なテーマが「次に何が出てくるか」わからない形で次々に出てくる。
外国語でこの話の流れについていくのは、結構キツい。
必要なのは外国語での「教養」だが……
「英語の日常会話は80%中学英語でイケる」みたいな学習書が出ているが、これを額面通りに受け取ると痛い目に遭う。
だいたい日常会話というのは、お互いが同程度の水準の教養を共有していることが前提で成立するものである。
なので、その外国語での教養の水準が低ければ、日常会話も進めようがない。
会話の骨組み(構文)部分は中学英語で対応できる。
しかし、少なくとも「大人の日常会話」をするには、中学レベルの教養ではとても足りない。
「大人の日常会話」には、広く浅い知識が必要なのだが、これを外国語で蓄積するのは意外なほど難しい。
母語であれば、子どもの頃から言葉を学習する過程で段階的にゆっくりと積み上げられる。
しかし、後天的に学習する外国語だと、意識的に相当どん欲にさまざまな分野のインプットをやっていく必要があり、これはかなりしんどい作業になる。
外国語での日常会話がある程度以上円滑にできるひとは、このハードルを越えてきてるのである。
日常会話はナメてかからない方がいい。